今年9月6日の北海道全域のブラックアウトから復旧までの1時間毎の電力需給データが公開されたので、自然エネルギーの活用を中心に考察しました。
まず、この度北海道胆振東部地震により被災されたみなさまへお悔やみ申し上げます。また復旧に向けた関係者の皆様の取り組みに敬意を表します。
2018年9月6日3時6分に発生した北海道胆振東部地震により、北海道全域で停電し、日本で初めてエリア全域でのブラックアウトが起こりました。ここでは、上図に示すように、地震前日の9月5日(水)から9月11日(火)までの際の電力需給について考察しました。
企業も含め295万戸に及んだ停電は、約50時間後の9月8日5時までに99%解消しました。また、苫東厚真火力発電所1号機は9月19日、4号機は同25日、2号機は10月10日に再稼働しました。
今回の停電の主な原因は、北海道電力の主な電力源であった苫東厚真火力発電所165万kWの離脱と3本の送電線停止による水力発電所約43万kW分の離脱でした(経産省ウェブサイト)。この際に風力発電や太陽光発電も周波数変動から発電所を守るために離脱しました。そして、今回電力復旧に貢献した主な電力源は離脱分を除く水力と火力、加えて他社からの電力供給でした。
太陽光については、自宅に太陽光発電を持つ方は自家消費により非常用電源から電気を供給することもできました。一方系統に電力を送る場合は、小規模な低圧については8日から順次系統に復帰し、高圧太陽光については11日からほぼ復旧しました。
本来、分散型電力とされる太陽光、風力は災害時において電力の供給が途絶えても自力である程度の発電が可能ということが理由の一つで注目されていましたが、今回、周波数変動に対応できるシステムがないことから、復旧までに多大な時間を要しました。今後、再生可能エネルギーを広く普及していく上で周波数変動への耐性強化は必須であり、経済産業省も対応の方針を示しています。